是正処置はこう使う

長年、審査活動を通して感じてきたことであるが、これまで多くの企業においてこの是正処置という改善活動が上手に活用してこなかったため、残念ながら、業績向上に結びついていないのが実状である。

データが古いが、JABのアンケート調査(2007年)でも「不適合の是正処置が表面的なものに終わっている」と多くの企業自身が不満をもっていることが報告されている。これは、真の原因が特定されていないため、再発防止策にならず、また同じような問題が発生してしまうという悪循環を繰り返してきた。

これには、2つの大きな原因があると考えられる。

一つは、製品という成果物に不具合が発生し、その不具合の真の原因を特定する場合、その成果物が材料(Material)、手順(Method)、機械(Machine)、作業者(Man)など4Mの関わりあいを持ちながら造られてくる。

仮にその成果物に不具合があれば、原因を究明していくときには当然その4Mに起因した要因系にその原因がないかどうかを「なぜなぜ分析」などにより辿っていくことになる。

その結果、真の原因らしきものが4つの要因系から複数出てきて当然である。複数の再発防止策を講ずることにより不具合問題を恒久的に改善することが可能になる。

しかし、実際には、4Mの内の作業者(Man)の要因系しか考慮せずに、ヒューマンエラーが唯一の原因であるかのように片づけてしまう企業があまりにも多いことである。

もう一つの原因は、この4Mの要因系それぞれにおいて、分析が不十分なために真の原因を捉えきれていないためである。

それは、一つの要因系に着目して、なぜなぜ分析を行う場合、例えば、二次分析の段階で、得られた分析結果が即、対策に結びつくような原因が炙り出されていない場合には、その得られた仮の原因を結果系に置き換えて、更に、何故、そのような結果になったかの原因を追究していかなければならないが、中途半端で終わっているケースである。

対策に結びつくような原因が炙り出されるところまでなぜなぜ分析を三次、四次と展開し、見えてきたらそこで分析を打ち切ればよい。

そうすれば、自ずと対策が見えてくるはずである。

是正処置とは、顕在化した故障や不具合に対して事後的に応急処置と恒久対策を施して同じ原因によるエラーを二度と発生さないよう処理する活動である。

いわゆる再発防止対策が効果的に歯止めとしての役割を担っている状態を維持・管理する仕組みや手順を標準化(必要であれば文書化)することになる。

そして、その仕組みや手順が定着したと判断できるところまで見届けて初めてその効果を確認したことになる。

このようにプロセス、仕組みが定着することにより、それを拠りどころとして、次なる改善活動が初めて可能となる。

こうして是正処置の積み重ねにより業績向上が期待できるはずである。